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異文化意識の5つの発達過程

更新日:4月28日

異文化意識発達の5つの過程をくわしく説明します。

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DPICは共創までの異文化意識の発達過程を5つの基本的フェーズで説明します。PDF版は資料ページにございます。引用いただく場合は以下を参考に出典をお書きください。​


山本志都(2025)「異文化意識発達の5つの過程」Differentness & Diversity, https://www.diffanddiv.com/(20XX年X月X日アクセス)


異文化意識発達の5つの過程とは

異文化意識開発®プロファイル(DPIC)は、Milton Bennettの異文化感受性発達モデル(DMIS)をもとに、山本志都が実証研究により開発した理論に基づく測定ツールです。


最初に、それぞれのフェーズについて簡単にご紹介します。次に、意識のフェーズを進める「出会い」の「初対面→ご対面→異対面」をご紹介します。


フェーズ1:無関心

違いに着目する発想自体がなく、意識の外にある、あるいは興味を持たない状態です。

異なる背景や視点に注意を払うことなく、自分の世界だけで完結しています。


フェーズ2:防衛

違いを認識し始めるものの、それをうまく整理できず、違和感や抵抗感を抱く段階です。

自己防衛のために、相手の文化や考えを否定・排除する動きが見られることもあります。


フェーズ3:最小化

違いを特別視せず、自分のわかる範囲で受け入れようとする段階です。

一定の寛容さはありますが、理解は限定的で、予想外の出来事には柔軟に対応することが難しい場合があります。


フェーズ4:相対化

複数の視点を移動しながら、異なる発想や感覚を比較・検討できる状態です。

異なる可能性を受け入れ、柔軟な対応ができるようになります。


フェーズ5:共創

違いを単に受け入れるだけでなく、それぞれの違いを活かして、新たな関係性や未来を共に創り出すことができます。発信力と探索力を活かしながら、相互に影響し合い、共に成長していく「相互適応」、「共進化」が実現されます。


意識のフェーズを促進する3つの「出会い」

異文化意識の発達には、意識のフェーズを進めるための3つの重要な出会いがあります。


  • 初対面 (First Encounters) は、ある違いが初めて視界に入り、その存在を認識する経験。この段階では、まだ距離を置いた傍観者的な立場で違いを眺めることができ、

    新鮮な驚きや楽しい発見を感じることもあります(そしてそれが重要です)。一方で、思いがけない違いに直面したとき、自分の基準(清潔/不潔、常識/非常識など)に照らして受け入れがたいと感じると、違和感や抵抗感といった実感がわいてきて(そしてそれが重要です)、ただ「無関心」ではいられなくなります。それが次のフェーズの「防衛」的な反応へとつながるきっかけになります。

     

  • ご対面 (Ongoing Encounters) は、「最小化」のフェーズにおいて、違いを特別なものと身構えることなく、自分にもわかるものとして自然に受け止められるようになった状態。「そういうやり方もあるんだ」「そんな考え方もあるんだ」と、さまざまな「ご対面」を繰り返し、違いに出会いながら、知識や理解を広げていくことができるようになります。ただしこの時点では、自分にわかる範囲内で違いを受け入れているに過ぎず、異なる思考や行動を生み出している背景のシステムや構造までは、まだ深く捉えられていないことが多いです。さらに深い認識の転換をもたらす「異対面」への移行が期待されます。


  • 異対面 (Transformative Encounters) は、「相対化」フェーズへの移行に向けて重要な転機となる出会い。自分の常識や前提では理解しきれない違いが、相手の文脈やシステムの中では整合性をもって成立していることに気づく鮮烈な体験です。「そういうことか!」や「それだったのか」と、想像もしなかった新たな感覚やロジックが、自分の中でスっと「腑落ち」するような感じがすることもあります。「目からウロコ」が落ちるように、世界を見るために使っていた自分の「レンズ」が外れてみると、これまでの当たり前が違う形に見えるようになったという経験です。ただし、たとえそのような衝撃を受けたとしても、「そういう考え方もあるんだ」と新しい知識を追加するだけの場合は「ご対面」の範囲内です。前提や常識が揺らぎ、システムレベルの構造から書き換えた理解ができるようになるのが、「相対化」です。


こうした体験を重ねることで、人は少しずつ違いへの向き合い方を深め、より柔軟で共創的な異文化意識を育んでいきます。


この図は、宮森千嘉子氏の新著、『強い組織は違いを楽しむ:CQが切り拓く組織文化』(2025年4月, 日本能率協会マネジメントセンター)にも引用され、掲載されています。

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